どう知る?どう使う?健康・医療情報

「私に適した治療法」がわかる~N-of-1試験

北澤京子・医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授
  • 文字
  • 印刷

 これまでに紹介した、ランダム化比較試験、前向きコホート研究、症例対照研究は、研究デザインに違いはあっても、“大勢の人に起こった事実を統計的にまとめて結果を得る”という点は同じです。とはいえ、「ある治療法が有効であることがランダム化比較試験で証明された!」などと言われても、もうひとつピンとこない人もいるのではないでしょうか。知りたいのは統計ではなく、「その治療法が私にとって有効なのか」なのですから。そんなときに使える研究デザインが、N-of-1(エヌオブワン)試験です。

 実は、N-of-1試験のようなことは、日常生活で普通に行っています。髪が伸びたのでそろそろカットに行きたいと考えている「私」を例に考えてみましょう。

 「私」の家の近くには美容院が2カ所(AとB)あり、どちらを行きつけにしようか迷っています。まずは、こんな「私」の状況を、疑問を整理するキーワードとして以前に紹介したPICO(ピコ)の形式で整理しましょう。繰り返しになりますが、PICOとは、P(Patient[患者]:誰に対して)、I(Intervention[介入]:何をしたら)、C(Comparison[比較]:何に比べて)、O(Outcom…

この記事は有料記事です。

残り1641文字(全文2153文字)

北澤京子

医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授

きたざわ・きょうこ 医療ジャーナリスト、京都薬科大学客員教授。著書に「患者のための医療情報収集ガイド」(ちくま新書)、訳書に「病気の『数字』のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問」(日経BP社)、「過剰診断:健康診断があなたを病気にする」(筑摩書房)