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米国で女性救急医の活躍を可能にしたシフト制

志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)

 東京医科大学が入試で女性受験生の得点を一律に減点していたことが大きな問題となっています。大学側は、女性の医学生が増えた結果、女性医師の割合が増えることを懸念していたようです。その根底には「女性医師は結婚、出産、子育てがあり、病院を支える労働力として男性と同等にはなりにくい」との考えがあるのではないでしょうか。

 では、医療の現場で女性は“戦力”にならないのでしょうか。そのようなことはありません。友人のUCLA助教授、津川友介医師の研究でも示されているように、「女性医師が治療を担当した方が、男性医師よりも入院患者の死亡率や再入院率が低い」ということが分かっています(参考1)。

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国際医療福祉大医学部救急医学主任教授(同大成田病院救急科部長)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授、21年4月から主任教授(同大成田病院救急科部長)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。