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「真夏の甲子園」と運動障害の“熱い関係”

和田裕雄・順天堂大学准教授
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豪雨被害の復旧作業が続く岡山県倉敷市の真備町地区
豪雨被害の復旧作業が続く岡山県倉敷市の真備町地区

 今年の夏は連日の猛暑でした。8月は高校野球観戦に燃えた人も多かったでしょう。大会期間中に熱中症かあるいは日射病の疑いで手当てを受けた人の数は昨年の大会を超えたと報じられました。またけいれんの発作を起こした選手もいて、猛暑の中の運動障害に関心が集まりました。今回は、「暑熱環境下での運動と仕事」についてお伝えします。

 炎天下だけでなく、建設現場、鉄工所、火災現場など高温の環境を「暑熱環境」と呼びます。暑熱環境下で行われるのは夏の高校野球やマラソン、トライアスロン、あるいはサッカーのようなスポーツ競技だけではありません。屋外・屋内での作業も含まれます。みな、暑熱環境下で厳しい肉体的タスクを遂行することを求められます。

 私の小学生時代には、「熱の移動には放射、対流、伝導の3種類がある」と習いました。もう一つ、体温を下げるメカニズムに、汗など体液が蒸発するときに熱を奪う「気化熱」があります。気化熱は体温低下に非常に大きな役割を果たします。

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和田裕雄

順天堂大学准教授

わだ・ひろお 1993年、東京大学医学部卒。東京大学医学部付属病院、東京大学医科学研究所、英国Imperial College London留学、杏林大学付属病院呼吸器内科学教室などで、特に閉塞性肺疾患、慢性呼吸不全などの呼吸器疾患に焦点を当てて診療・研究・教育に携わってきた。2014年より順天堂大学公衆衛生学講座准教授として、予防医学や産業医学の分野で地域や働く人たちの健康管理にも目を配っている。医学博士、内科学会専門医、呼吸器学会専門医、老年医学会専門医。