旅と病の歴史地図

旅先でつらい「旅行者下痢症」を薬で止めていい?

濱田篤郎・東京医科大学教授
  • 文字
  • 印刷
海外に出国する人たちでにぎわう出発ロビー=成田空港で2018年8月10日午前10時9分、小川昌宏撮影
海外に出国する人たちでにぎわう出発ロビー=成田空港で2018年8月10日午前10時9分、小川昌宏撮影

 海外旅行中に起こる下痢を「旅行者下痢症」と呼びます。発展途上国に1カ月間滞在すると半数近くの旅行者がかかるとされており、頻度が大変高い病気です。楽しいはずの海外旅行も、その途中で下痢をしてしまっては台無し。そこで今回は、旅行者下痢症の予防や対処法について解説します。

ヘミングウェーを襲ったアフリカの下痢

 米国の作家、アーネスト・ヘミングウェーはサファリツアー(狩猟旅行)が大好きで、アフリカ東部を何度も訪れています。1934年に訪問した時は、キリマンジャロのふもとにあるサバンナで狩猟を楽しんでいましたが、その最中に下痢が始まります。それほど重症ではなかったので、そのままツアーを続けていたところ、やがて猛烈な腹痛が起こり、彼は救援機でケニアの首都ナイロビの病院に搬送されました。病名はアメーバ赤痢で、彼の腸は破裂する寸前でした。

 幸いにも約2週間の治療で回復し、彼は再びツアーに戻っています。アメーバ赤痢は原虫の「赤痢アメーバ」…

この記事は有料記事です。

残り2477文字(全文2893文字)

   

ご登録日から1カ月間は100円

いますぐ登録して続きを読む

または

登録済みの方はこちら

濱田篤郎

東京医科大学教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。