
認知症のA子さん(80代)は、太ももの付け根を骨折して病院に入院していました。つえなしで歩けるぐらいまで回復しないと自宅に帰るのは難しいため、つえなしで歩くことを目標にリハビリを続けようと、介護老人保健施設に入所しました。
“暴力”に頭を抱えた職員
入所してしばらくたったころ、「A子さんが暴力をふるう」という相談を受けました。職員が悩まされているというのです。ちなみに“暴力”という言葉が意味する行為は幅広く、あいまいで正確さに欠けます。色メガネのような働きをするので、わたしは必ず色メガネを外して状況を把握することにしています。職員に聞きました。
わたし:A子さんはどんなタイミングで“暴力”をふるうのですか?
この記事は有料記事です。
残り1817文字(全文2123文字)
認知症ケアアドバイザー
ペ・ホス(裵鎬洙) 1973年生まれ、兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問介護、介護老人保健施設などで相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、かかわる人の内面の「あり方」が、“人”や“場”に与える影響の大きさを実感。それらの経験を元に現在、「認知症ケアアドバイザー」「メンタルコーチ」「研修講師」として、介護に携わるさまざまな立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の大切さの発見を促す研修やコーチングセッションを提供している。著書に「理由を探る認知症ケア 関わり方が180度変わる本」。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。ミカタプラス代表。→→→個別の相談をご希望の方はこちら。