実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

インフル新薬「ゾフルーザ」に医師が慎重になる理由

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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知っているようで、ほとんど知らない風邪の秘密【19】

 昨シーズン(2017/18年)に米国で8万人もの命を奪ったインフルエンザ。00年代初頭に登場した抗インフルエンザ薬「タミフル」(注1)は転落死などの事故との関係が指摘され使いたくないという声があるなか、今年3月には「ゾフルーザ」という新薬が緊急発売され注目を集めています。発売後、年度末までの2週間で24億円も売れたとか。ですが、少なくとも私の周りにはゾフルーザを積極的に処方すると考えている医師はほとんどいません。インフルエンザにかかればゾフルーザを使えばいい、というのは完全な誤解です。では既存の薬である「イナビル」や「タミフル」などを用いればいいのかといえば、そういうわけでもありません。インフルエンザの対処法については過去の記事(たとえば「『休めない』人はインフルエンザの薬を使うべきか?」)でも何度か取り上げましたが、今回は新薬ゾフルーザの効果と安全性を中心にまとめてみたいと思います。

 ゾフルーザが注目されたのは、タミフルやイナビルといった従来の抗インフルエンザ薬と作用機序(効く仕組…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト