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子どもの失明原因1位、増える「未熟児網膜症」

栗原俊英・慶應義塾大学特任准教授
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 新生児医療の進歩に伴い、生まれた時の体重が1000g未満の「超低出生体重児」と呼ばれる赤ちゃんの生存率が高まり、最近は500g未満で無事に生まれてくる赤ちゃんもいます。こうした状況で近年、早産で生まれて出生体重が小さい赤ちゃんに発症する目の病気「未熟児網膜症」が増加しています。視覚特別支援学校(盲学校)に通う生徒のうち、1970年では1.1%だった未熟児網膜症の割合が、2010年には18.6%となりました。現在小児の失明原因の40%ほどを占め第1位の病気です。今回は、この未熟児網膜症がおこる仕組みや治療方法について説明します。

 網膜は、眼球の奥でおわん状に広がっている薄い膜状の組織で、網の目のように血管が走っています。この血管網は、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる間に少しずつ作られます。未熟児網膜症は、血管網ができあがる前に、赤ちゃんが生まれてくることで発症します。

 網膜に酸素や栄養を供給する血管は、安定期に入る少し前の妊娠16週ごろ、視神経が眼球に出てくる場所(視神経乳頭)を起点として、網膜の周辺部に向かって伸び始めます。網膜表面の血管は妊娠30週ごろに、視神経乳頭から最も遠い周辺部まで広がります。そして臨月にあたる38~40週ごろまでに網膜の深い部分まで血管が張り巡らされ、血管のネットワークが完成します(図1)。

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栗原俊英

慶應義塾大学特任准教授

くりはら・としひで 2001年に筑波大学医学専門学群卒業後、同年、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。09年、慶應義塾大学大学院医学研究科修了(医学博士)、09~13年米国スクリプス研究所研究員。帰国後、13年に慶應義塾大学医学部眼科学教室助教、15年に同教室特任講師を経て、17年から同教室特任准教授。網膜硝子体が専門。慶應義塾大学病院で網膜硝子体外科外来、メディカルレチナ外来を担当すると共に、医学部総合医科学研究センター光生物学研究室(栗原研究室)で低酸素環境における網膜の反応、光環境に対する生体反応を中心に研究を展開する。