理由を探る認知症ケア フォロー

叫び続けた認知症男性は「薬の整理」で救われた

ペホス・認知症ケアアドバイザー
 
 

 Kさん(80代・男性)は、大企業を退職後、奥さんと2人で旅行に出かけるなど幸せな日々を送っていました。聡明(そうめい)で見識も広く、正義感の強い方でした。50代から糖尿病や高血圧の持病があり、70代半ばでアルツハイマー型認知症と診断されました。

 奥さんが亡くなって1人暮らしになったため、家族が心配して、介護付き有料老人ホームに入る手続きをして、入居しました。

 施設への入所は、人によっては「リロケーションダメージ」(引っ越しや入院で環境が変わることによる混乱)を受けることがありますが、Kさんには目立った混乱も見られず、ホームの入居者とも次第にコミュニケーションをとるようになり、うまくなじんでいきました。

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認知症ケアアドバイザー

ペ・ホス(裵鎬洙) 1973年生まれ、兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問介護、介護老人保健施設などで相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、かかわる人の内面の「あり方」が、“人”や“場”に与える影響の大きさを実感。それらの経験を元に現在、「認知症ケアアドバイザー」「メンタルコーチ」「研修講師」として、介護に携わるさまざまな立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の大切さの発見を促す研修やコーチングセッションを提供している。著書に「理由を探る認知症ケア 関わり方が180度変わる本」。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。ミカタプラス代表。→→→個別の相談をご希望の方はこちら