医をめぐる情景

巨人&小人化の幻覚「不思議の国のアリス症候群」

上田諭・東京医療学院大学教授
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小説(童話)「不思議の国のアリス」(1865年)

 白ウサギの後を追ってとんでもなく深い穴に落ちた少女アリスは、奇妙で不思議な冒険をする。行く先々でいろいろな動物や人のキャラクターから、常識の通じない言葉遊びや謎かけのような会話を投げかけられ、アリスは戸惑ったり、あきれたり、怒ったりして、翻弄(ほんろう)され続ける。世界的に有名な古典的童話「不思議の国のアリス」で起きる出来事だ。

 常識外れの出来事ばかりの中で、アリス自身の体にも不思議な現象が起きる。びんに入った薬を飲むとか、ケ…

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上田諭

東京医療学院大学教授

うえだ・さとし 京都府生まれ。関西学院大学社会学部では福祉専攻で精神医学のゼミで学ぶ。卒後、朝日新聞に記者で入社したが、途中から内勤の編集部門に移され「うつうつとした」日々。「人生このままでは終われない」と、もともと胸にくすぶっていた医学への志向から1990年、9年勤めた新聞社を退社し北海道大学医学部に入学(一般入試による選抜)。96年に卒業、東京医科歯科大学精神神経科の研修医に。以後、都立の高齢者専門病院を中心に勤務し、「適切でない高齢者医療」の現状を目の当たりにする。2007年、高齢者のうつ病治療に欠かせない電気けいれん療法の手法を学ぶため、米国デューク大学メディカルセンターで研修し修了。同年から日本医科大学(東京都文京区)精神神経科助教、11年から講師、17年4月より東京医療学院大学保健医療学部教授。北辰病院(埼玉県越谷市)では、「高齢者専門外来」を行っている。著書に、「治さなくてよい認知症」(日本評論社、2014)、「不幸な認知症 幸せな認知症」(マガジンハウス、2014)、訳書に「精神病性うつ病―病態の見立てと治療」(星和書店、2013)、「パルス波ECTハンドブック」(医学書院、2012)など。