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外国人労働者増加時代に必要な“新感染症政策”とは

濱田篤郎・東京医科大学特任教授
衆院法務委員会での外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案の採決に対し、葉梨康弘委員長(中央)に詰め寄り阻止しようとする野党議員たち。右端は与党議員たちに賛成起立を促す自民党議員=国会内で2018年11月27日、川田雅浩撮影
衆院法務委員会での外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案の採決に対し、葉梨康弘委員長(中央)に詰め寄り阻止しようとする野党議員たち。右端は与党議員たちに賛成起立を促す自民党議員=国会内で2018年11月27日、川田雅浩撮影

 マラリアは世界の熱帯や亜熱帯地域で流行している熱病です。病原体を持った蚊(ハマダラカ)に刺されると感染し、高熱、寒気、頭痛などの症状がみられ、重症になると死ぬこともあります。日本では1960年代までに流行が終息し、現在は「輸入感染症」としての患者が発生している状況です。この数が最近は年間50~70人と減少していますが、今後の社会情勢の変化に伴って、日本でも再び増加する可能性があります。今回はマラリア流行の歴史をたどりながら、これからの流行状況について考えてみたいと思います。

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東京医科大学特任教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。