
マラリアは世界の熱帯や亜熱帯地域で流行している熱病です。病原体を持った蚊(ハマダラカ)に刺されると感染し、高熱、寒気、頭痛などの症状がみられ、重症になると死ぬこともあります。日本では1960年代までに流行が終息し、現在は「輸入感染症」としての患者が発生している状況です。この数が最近は年間50~70人と減少していますが、今後の社会情勢の変化に伴って、日本でも再び増加する可能性があります。今回はマラリア流行の歴史をたどりながら、これからの流行状況について考えてみたいと思います。
この記事は有料記事です。
残り2680文字(全文2920文字)
投稿にはログインが必要です。
東京医科大学特任教授
はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。
注目コンテンツ