百年人生を生きる

超高齢化“新宿巨大団地”の「保健室」に集う人たち

星野哲・ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員
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「暮らしの保健室」が入る東京都新宿区にある戸山団地=筆者撮影
「暮らしの保健室」が入る東京都新宿区にある戸山団地=筆者撮影

 「いつでもどうぞ」といわれても、ただお茶をしに行くというのは……。そんな、「居場所」に敷居の高さを感じている人でも気軽に立ち寄れる場を提供したい、という考えから始まった活動がある。誰にとっても、生活の中で大事にしている「健康」を入り口にした、街の中の「よろず相談の場」づくりだ。

 東京都新宿区の都営戸山ハイツアパート。35棟に約3000世帯が暮らし、その半数以上は高齢者という超高齢社会を先取りしたような団地だ。この団地の「33号棟」1階にある商店街の書店を改装して2011年7月にオープンした「暮らしの保健室」が、その「よろず相談の場」だ。平日の午前9時から午後5時まで、看護師が常駐し、予約不要・無料で健康相談に乗っている。ただお茶をするだけでもいいし、食事会や健康講習会、ヨガ教室などの行事に参加することもできる。

 ある秋の一日。70平方メートルほどの室内に置かれた楕円(だえん)形のテーブルの周りでは、お茶を飲み…

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星野哲

ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員

ほしの・さとし 1962年生まれ。元朝日新聞記者。30年ほど前、墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、特にライフエンディングについて取材、研究を続けている。2016年に独立。立教大学大学院、東京墨田看護専門学校で教えるほか、各地で講演活動も続ける。「つながり」について考えるウエブサイト「集活ラボ」の企画・運営も手がける。著書に「遺贈寄付 最期のお金の活かし方」(2018年、幻冬舎)「『定年後』はお寺が居場所」(同、集英社新書)「終活難民-あなたは誰に送ってもらえますか」(2014年、平凡社新書)ほか。