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「1日2時間屋外活動」と目薬が近視を抑える可能性

栗原俊英・慶應義塾大学特任准教授
 
 

近視の新しい治療の可能性【前編】

 現在、近視人口は爆発的に増えています。文部科学省の2018年度の調査報告によると、過去39年間で、裸眼視力0.3未満の小学生は3.5倍の9%に、1.0未満の小学生は2倍の34%になりました。また、裸眼視力1.0未満の中学生は1.6倍の56%に、高校生は1.3倍の67%になりました。裸眼視力の低下は必ずしも近視の有病率を直接反映しているわけではありませんが、視力1.0未満の人は、近視の可能性があります。

 近視が進行し続けると生活が不便というだけでなく、強度近視や、病的近視になって失明に至ることもあります。一方で最近は、近視の進行を抑える方法、特に近視が進みやすい子どもへの対策が研究開発され始めています。今回は前後編を通して、その最新の研究状況を紹介します。

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慶應義塾大学特任准教授

くりはら・としひで 2001年に筑波大学医学専門学群卒業後、同年、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。09年、慶應義塾大学大学院医学研究科修了(医学博士)、09~13年米国スクリプス研究所研究員。帰国後、13年に慶應義塾大学医学部眼科学教室助教、15年に同教室特任講師を経て、17年から同教室特任准教授。網膜硝子体が専門。慶應義塾大学病院で網膜硝子体外科外来、メディカルレチナ外来を担当すると共に、医学部総合医科学研究センター光生物学研究室(栗原研究室)で低酸素環境における網膜の反応、光環境に対する生体反応を中心に研究を展開する。