“子ども食堂”の時代―親と子のSOS―

「貧困による食格差」が生む子どもの肥満やいじめ

可知悠子・北里大学講師
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「みなと子ども食堂」で母親(手前)と一緒に食べる男の子。この日のメニューは、ハンバーグ定食で子ども100円、大人300円。育児中の親たちの憩いの場でもある=東京都港区のみなと子ども食堂で2018年9月5日、丸山博撮影
「みなと子ども食堂」で母親(手前)と一緒に食べる男の子。この日のメニューは、ハンバーグ定食で子ども100円、大人300円。育児中の親たちの憩いの場でもある=東京都港区のみなと子ども食堂で2018年9月5日、丸山博撮影

子どもの貧困と肥満(前編)

 子どもや子育てを取り巻く社会環境が大きく変化しています。経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の相対的貧困率(国民一人一人の手取り収入を順に並べ、真ん中となる人の半分に届かない人の割合)は16.1%(2012年)で、加盟36カ国中、7番目に高い数字です。収入の少ない親の割合が増え、それに伴って7人に1人の子どもが貧困状態で暮らしています。特に30代後半から40代前半の親たちは就職氷河期に就職活動を行い、安定した雇用が得られにくかった世代で、他の世代より収入が少ない傾向にあります。また、核家族が増え、地域とのつながりが減り、子育ては孤立しがちです。両親共働きが増えていますが、長時間労働の場合には家族の時間が減り、子どもたちが寂しい思いをしています。

 もちろん、親たちを責める気はありません。公的なサポートが少ない社会環境の中で、さまざまな工夫をした…

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可知悠子

北里大学講師

かち・ゆうこ 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年から10年間、臨床心理士として子どもや女性のカウンセリングにあたる。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座助教、日本医科大学衛生学公衆衛生学教室助教を経て、18年4月から北里大学医学部公衆衛生学単位講師。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室客員研究員、国立成育医療研究センター社会医学研究部共同研究員、首都大学東京客員准教授。共著に「子どもの貧困と食格差~お腹いっぱい食べさせたい」(大月書店)。自身も3歳児の子育て中。労働者とその子どもの健康の社会格差をテーマに研究を行っている。