どうする健康格差社会 フォロー

「誘い誘われ」「持ちつ持たれつ」が病気を防ぐ

近藤克則・千葉大学予防医学センター教授
おなかから声を出しながら体操をする高齢者
おなかから声を出しながら体操をする高齢者

 春になると新人が職場や学校に入ってくる。頼りなかった元新人も、「先輩!」などと頼られて張り切るだろう。先輩に助けてもらった新人は、ホッとする。頼られた方も「役に立てた」とか「自分も成長した」などと思えて、悪い気はしない。

 助けられていた新人が、次は助ける側に回る。持ちつ持たれつ。人とつながると安心や役割が生まれ、一人では味わえない喜びや元気、ハリが生まれるのだ。

 一方、運動やスポーツでも、一人では長続きしない。医師や保健師に運動を勧められたが……という人は多い。個人に着目した予防医学の限界だ。それに対して「ゼロ次予防」では、人々のつながりにも着目し、暮らしているだけで無関心な人まで健康になってしまう楽しい環境づくりを目指している。

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千葉大学予防医学センター教授

1983年千葉大学医学部卒業。東大医学部付属病院リハビリテーション部医員、船橋二和(ふたわ)病院リハビリテーション科科長などを経て日本福祉大学教授を務め、2014年4月から千葉大学予防医学センター教授。2016年4月から国立長寿医療研究センター老年学評価研究部長。「健康格差社会ー何が心と健康を蝕むのか」(医学書院2005)で社会政策学会賞(奨励賞)を受賞。健康格差研究の国内第一人者。