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近視抑える「眼鏡・食品・コンタクト」の最新研究

栗原俊英・慶應義塾大学特任准教授
 
 

近視の新しい治療の可能性【後編】

 爆発的に増えている近視を抑制する方法はあるのか、研究が続けられています。後編では、つけたまま寝るハードコンタクトレンズ(オルソケラトロジー)、特殊なレンズを用いた眼鏡やコンタクトレンズ、栄養補助食品(サプリメント)による近視抑制効果について説明します。

「つけたまま寝るハードコンタクトレンズ」の近視を抑える効果

 まず「オルソケラトロジー」と呼ばれる近視の矯正法を紹介しましょう。これは、夜にハードコンタクトレンズをつけたまま寝ることで、角膜(黒目)のカーブを一時的に変化させ、日中は裸眼で過ごせるようにする方法です。近視は、網膜よりも手前に焦点が合ってしまう状態ですが、角膜のカーブが変わると、うまく網膜に焦点が合うようになるのです。

 ハードコンタクトレンズを外した後に、角膜にこのような変化が起きることは、コンタクトレンズが開発された1940年代には報告されていました。その後、眼球への負担を少なくするため酸素透過率を高くし、同時に角膜の形を効果的に変化させる特別なデザインのレンズが開発され、2002年に米国で、近視矯正の治療方法の一つとして承認されました。

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慶應義塾大学特任准教授

くりはら・としひで 2001年に筑波大学医学専門学群卒業後、同年、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。09年、慶應義塾大学大学院医学研究科修了(医学博士)、09~13年米国スクリプス研究所研究員。帰国後、13年に慶應義塾大学医学部眼科学教室助教、15年に同教室特任講師を経て、17年から同教室特任准教授。網膜硝子体が専門。慶應義塾大学病院で網膜硝子体外科外来、メディカルレチナ外来を担当すると共に、医学部総合医科学研究センター光生物学研究室(栗原研究室)で低酸素環境における網膜の反応、光環境に対する生体反応を中心に研究を展開する。