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「妻の認知症」でうつ状態の夫を支えた漢方薬

加藤士郎・野木病院副院長/筑波大学付属病院臨床教授
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 長年連れ添った伴侶が認知症などの病気になってしまうと、配偶者も将来を心配し、気分が落ち込みやすいものです。今回は、妻がアルツハイマー型認知症と診断されたことがきっかけでうつ状態となり、食欲不振に陥ってしまった高齢男性が漢方薬の服用で改善したケースを紹介します。診断以降、妻も夫と同じように気持ちが沈んでいましたが、従来の治療に夫と同じ漢方薬を加えたことによって、2人とも元気を取り戻したのです。

 Aさん(71)は不動産会社を経営しています。身長168cm、体重62kg、とても趣味の多い人です。妻(72)、会社を一緒に経営している長男(44)夫婦と同居しています。他に自動車会社に勤務する次男(40)夫婦が近くに住んでおり、とても仲が良い一家です。Aさんには軽度の高血圧があり、降圧薬は飲んでいますが、健康状態は良好でした。

 ところが、Aさんが70歳になる少し前くらいのことです。奥さんが急に忘れ物をしやすくなってきたのに気がつきました。奥さん自身も、日常生活で急に物忘れが多くなってきたのを心配していました。近くの内科クリニックで紹介状を書いてもらい、大学病院の神経内科を夫婦で一緒に受診。問診、採血、頭部のCTスキャンや磁気共鳴画像化装置(MRI)検査の結果、初期のアルツハイマー病と診断されました。奥さんはもちろんです…

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加藤士郎

野木病院副院長/筑波大学付属病院臨床教授

かとう・しろう 1982年獨協医科大学卒後、同大第1内科(現心臓・血管内科)入局。88年、同大第1内科大学院卒。第1内科講師、宇都宮東病院副院長などを経て、09年野木病院副院長、筑波大学非常勤講師。同年、筑波大学付属病院総合診療科に漢方外来開設。10年筑波大学付属病院臨床教授。筑波大学付属病院で漢方外来に従事するととともに、主に学生、研修医を対象に漢方の教育活動を行っている。編著に「臨床力をアップする漢方ー西洋医学と東洋医学のW専門医が指南!」(中山書店)。医学博士、日本内科学会認定医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医など。