
子どもの貧困と肥満(中編)
前回は、低所得の親が増える中、子どもたちの間で「食格差」や健康格差が生じている実態を紹介しました。また、低所得家庭の子どもに肥満が多いことが国内外の研究で明らかになっていることもお伝えしました。低所得家庭では野菜、果物、肉、魚類を食べる頻度が低く、安くて高カロリーの菓子やカップ麺を食べる頻度が高いためです。日々成長している子どもの食格差への対策は、“待ったなし”です。「子どもの貧困元年」と呼ばれる2008年以降、高校授業料無償化や幼児教育・保育無償化などで政策の進展がありましたが、食に関する政策は立ち遅れています。子どもたちの豊かな「食」を保障するために、政策面で何ができるでしょうか。その答えの一つが「学校給食」の完全実施です。今回は食格差対策のポイントを押さえ、給食の意義についてみなさんと一緒に考えます。
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北里大学講師
かち・ゆうこ 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2006年から10年間、臨床心理士として子どもや女性のカウンセリングにあたる。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座助教、日本医科大学衛生学公衆衛生学教室助教を経て、18年4月から北里大学医学部公衆衛生学単位講師。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室客員研究員、国立成育医療研究センター社会医学研究部共同研究員、首都大学東京客員准教授。著書に「保育園に通えない子どもたち――『無園児』という闇」(筑摩書房)、共著に「子どもの貧困と食格差~お腹いっぱい食べさせたい」(大月書店)。自身も子育て中。労働者とその子どもの健康の社会格差をテーマに研究を行っている。
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