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大人気だが寿命を縮める?「超加工食品」とは

大西睦子・内科医
 ファストフードも「超加工食品」の一種だ
 ファストフードも「超加工食品」の一種だ

 「超加工食品」という言葉をご存じでしょうか。大ざっぱにいうと、大量生産されてさまざまな加工が施され、調理しなくても簡単においしくいただける食べ物のことです。ハンバーガーにチキンナゲット、甘いソフトドリンク、チョコレートやキャンディー……手ごろな価格で、しかも魅力的に包装されて目につきやすく、世界中で大人気です。たとえば2016年に公表された論文によると、平均的な米国人は、超加工食品から摂取するカロリーが、食事の総カロリーの半分以上を占めるそうです。ところが、この超加工食品が、がん、脂質異常症、肥満や高血圧などの病気にかかるリスクを高めるという結果が、最近の研究で出ています。さらに今年2月、「超加工食品が死亡のリスクを高める」というフランスでの調査結果が、米国医師会の医学雑誌「JAMA Internal Medicine」に論文として掲載されました。今回は、超加工食品とはどんな食品か、そして死亡のリスクがどう高まったのかを解説します。

 米国人の、超加工食品からの摂取カロリーなどを分析した論文

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内科医

おおにし・むつこ 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。