無難に生きる方法論

不登校の子から医師に届いた「桜咲く」の知らせ

石蔵文信・大阪大学招へい教授
  • 文字
  • 印刷
名古屋大に合格し胴上げされる受験生=名古屋市千種区で2019年3月9日、大西岳彦撮影
名古屋大に合格し胴上げされる受験生=名古屋市千種区で2019年3月9日、大西岳彦撮影

 不登校の子どもの世話をしていると、毎年3月はうれしい知らせが届く。中学や高校で不登校になった子どもたちが何とか学業を維持し、一番ストレスの大きいと思われる受験を突破して、見事志望大学に入学を決めるからだ。治療中の子どもはもちろん、すでに治療が終わった子どもからも吉報とお礼が届くと、この仕事をやっていて本当によかったと思える。

 私が診察している子どもたちの不登校の原因はさまざまだが、みなさんが想像するような、明らかないじめが原因であることはむしろ少ない。

 緊張しやすく、他人の評価が気になり、友人との対人関係に疲れる子どもが多い。疲れるだけならよいが、気を使いすぎてセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が少なくなり、めまい、動悸(どうき)、発汗症状が表れる。これは自律神経の不調からくるものだ。緊張し過ぎで肩こりや腰痛にも悩み、次第に学校に行くのがつらくなるのが、不登校の一般的な原因であることが多い。

この記事は有料記事です。

残り885文字(全文1293文字)

石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。