
母乳の代わりとなる国産の乳児用液体ミルクが3月、初めて発売されました。液体ミルクは、牛乳をもとにして母乳に近い成分となるように作られた人工乳です。粉ミルクのように熱湯で溶かす手間がかからず、商品によりますが常温で半年~1年程度保存ができることが特徴で、海外では広く普及しています。市民団体などの働きかけで日本でもようやく発売されました。育児の負担軽減や災害時用備蓄としての期待から歓迎の声が上がりましたが、第1号の江崎グリコ「アイクレオ赤ちゃんミルク」のパッケージに表示された「母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養」という言葉について、SNSでは批判的な意見も出て話題になりました。今回は母乳と液体ミルクなど人工乳の栄養について考えます。
母乳にはミルクにない免疫物質などが含まれ、赤ちゃんの感染症予防効果を高めるなどの利点があります。国の2015年度「乳幼児栄養調査」によると、妊娠中に「ぜひ母乳で育てたいと思った」「母乳が出れば母乳で育てたいと思った」と回答した人の合計は 93.4%で、ほとんどの母親が母乳の良さを理解していると考えられます。
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管理栄養士
なりた・たかのぶ 1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書「新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK」(内外出版社)を執筆。共著に「各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと」(メタモル出版)、監修として「子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ」(オレンジページ)などに携わっている。
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