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「朝起きられない」と悩む高校生を支えた漢方薬

加藤士郎・野木病院副院長/筑波大学付属病院臨床教授
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 思春期に自律神経の不調によって生じる起立性調節障害。軽症例を含めると、小学生の約5%、中学生の約10%がこの病気にかかっているといわれています。一般的に朝なかなか起きられない、立ちくらみがするといった訴えから「怠けている」と誤解され、つらい思いをする人もいます。他にも、動悸(どうき)、頭痛、腹痛などを起こします。今回は小学生の時にこの病気を発症し、時々学校を休まざるを得なかった男性が、高校生の時に出合った漢方薬で改善したケースを紹介します。

 Aさん(21)は大学3年生です。会社員の父(56)、歯科衛生士の母(50)、高校3年生の妹(18)の4人家族です。小学校低学年から中学校時代にかけて、時々めまい、頭痛、腹痛などの症状で3、4日~1週間くらい、学校を休むことがありました。近所にある内科クリニックで自律神経失調症と診断され、定期的に通院し、薬を飲んでいました。

 小学校3年生の時に1度、めまい、腹痛、下痢で3週間ほど学校を休むことがありましたが、それ以外は長期的に学校を欠席することはありませんでした。小学校の高学年になるころには、体力もついて症状が改善され、学校を欠席することもほとんどなくなり、やがて内科クリニックへの通院もやめました。性格的にはとても内向的で、子どものころから友達と外で活発に遊ぶというより、家で本を読むことが多い生活をしていました。両親…

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加藤士郎

野木病院副院長/筑波大学付属病院臨床教授

かとう・しろう 1982年獨協医科大学卒後、同大第1内科(現心臓・血管内科)入局。88年、同大第1内科大学院卒。第1内科講師、宇都宮東病院副院長などを経て、09年野木病院副院長、筑波大学非常勤講師。同年、筑波大学付属病院総合診療科に漢方外来開設。10年筑波大学付属病院臨床教授。筑波大学付属病院で漢方外来に従事するととともに、主に学生、研修医を対象に漢方の教育活動を行っている。編著に「臨床力をアップする漢方ー西洋医学と東洋医学のW専門医が指南!」(中山書店)。医学博士、日本内科学会認定医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医など。