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“念のため”の認知症治療薬で性格が激変した夫

小田陽彦・ひょうごこころの医療センター認知症疾患医療センター長

 「先生の言う通り薬をやめたら夫はすっかり穏やかになりました。本当にありがとうございました」。先日、外来診察中に、ある認知症男性患者の妻が私にこうおっしゃいました。

 私は精神科病院に勤務する精神科医です。主に認知症の患者さんを担当しています。認知症の医療には、いろいろ注意すべき点があるのですが、患者さんやご家族、さらには医師の一部にさえあまり知られていません。このご夫妻も知らずに苦労し、そして、知ることで穏やかな暮らしに戻れた方たちでした。

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ひょうごこころの医療センター認知症疾患医療センター長

おだ・はるひこ 1977年、兵庫県西宮市出身。兵庫県立ひょうごこころの医療センター精神科医師。神戸大学医学部卒。医学博士。神戸大学医学部精神科助教、兵庫県立姫路循環器病センター等を経て2017年4月より現職。日本精神神経学会専門医・指導医。日本老年精神医学会専門医・指導医・評議員。著書に「科学的認知症診療」(シーニュ社、2018)