百年人生を生きる

「家族に頼れない私」自治体が支えるエンディング

星野哲・ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員
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「わたしの終活登録」ポスター=筆者撮影
「わたしの終活登録」ポスター=筆者撮影

 一人暮らしなどで家族に頼れない高齢者が増え、入院する際の身元保証や葬儀、納骨や死後事務などをサポートする事業が広がっていることを前回「最期まで安心できる『おひとりさま』の身支度とは」で紹介した。今回は、市民の「終活」を自治体が支援する、新たなサポートの形を紹介する。神奈川県横須賀市が2018年5月に始めた「終活情報登録伝達事業」(通称「わたしの終活登録」)だ。墓の所在地や遺言書の保管場所、緊急時の連絡先などの情報を希望者に登録してもらい、市が管理する事業だ。事業をスタートさせた背景には、身元は分かっているにもかかわらず、「無縁仏」として扱われるケースの増加がある。同じ課題に直面する自治体は多く、全国から注目を集めている。

 横須賀市役所分館6階フロアの一角に、鍵のかかった倉庫がある。引き取り手のない、または、引き取り手を市が探している遺骨が150柱ほど一時保管されている。最終的には、無縁仏として合葬墓にまとめられる。政教分離の観点から、宗教的な供養は一切行われない。

 実は、遺骨のほとんどには、名前が記された名札がついている。つまり、身元は分かっている。それでも引き取り手がないのだという。緊急時の連絡先が分からなかったり、親族と連絡がついても遺骨の引き取りを拒否されたりするというのだ。

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星野哲

ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員

ほしの・さとし 1962年生まれ。元朝日新聞記者。30年ほど前、墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、特にライフエンディングについて取材、研究を続けている。2016年に独立。立教大学大学院、東京墨田看護専門学校で教えるほか、各地で講演活動も続ける。「つながり」について考えるウエブサイト「集活ラボ」の企画・運営も手がける。著書に「遺贈寄付 最期のお金の活かし方」(2018年、幻冬舎)「『定年後』はお寺が居場所」(同、集英社新書)「終活難民-あなたは誰に送ってもらえますか」(2014年、平凡社新書)ほか。