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アジアで増加「デング熱」国内再流行が心配な理由

濱田篤郎・東京医科大学教授
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 今年は東南アジア各地でデング熱の患者数が増加しています。世界保健機関(WHO)などによると、シンガポールでは3月末までに、昨年同期の4倍にあたる約2000人の患者が確認されました。マレーシアでも首都クアラルンプールなどで患者数が増加し、4万人近い数に上っています。フィリピンでは3月末までの患者数が5万人を超え、200人以上の死者が出ています。

 デング熱は突然の発熱で始まり、激しい頭痛、関節や筋肉の痛み、発疹などがみられる病気です。東南アジアでは毎年のように流行が発生していますが、今年は特に患者数が多いようです。この影響で、日本からの旅行者が現地滞在中に感染するケースも増えており、海外で感染し国内で発症した今年の「輸入患者数」は4月中旬までに86人と、昨年同期の4倍以上に上っています。

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濱田篤郎

東京医科大学教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。