
日本人は先進国でも有数の睡眠時間が少ない国民であることは本連載当初にお話ししました。そして近年でも睡眠時間の減少傾向はあまり歯止めがかかっていません。厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、2007年調査では睡眠時間が6時間未満の人の割合は28.5%でしたが、10年後の17年調査では39.2%と約10ポイントも増加しています。個人的には、元号が平成から令和に変わろうともこの割合が増加していく傾向は今後も続くのではないかと考えています。なぜそう考えるか? これは皆さんが近年、日常的に享受している技術の進歩が睡眠を阻害する要因となっているからです。今回はこの点についてお話ししたいと思います。
この記事は有料記事です。
残り1829文字(全文2127文字)
投稿にはログインが必要です。
久留米大学学長
うちむら・なおひさ 1982年、久留米大学卒業。86年に久留米大学大学院医学研究科修了(医学博士)後、87年5月~89年4月に米国Oregon Health Science Universityへ留学。帰国後、久留米大医学部神経精神医学講座の助手、講師、助教授を経て、2007年4月から同講座教授に就任した。11年4月~13年3月、久留米大学病院副病院長。12年4月から久留米大学高次脳疾患研究所長、13年4月から同大医学部長を務め、20年1月からは同大学長。国内トップレベルの睡眠医療チームを率いる睡眠研究の第一人者。著書(分担執筆)に「睡眠学」(朝倉書店)、「プライマリ・ケア医のための睡眠障害」(南山堂)など。
注目コンテンツ