百年人生を生きる

「街のたまり場」神戸介護付きシェアハウスの実験

星野哲・ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員
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田端香さん(右)と長女の芽彩ちゃんの姿をみて笑顔をみせる入居者=神戸市で、筆者撮影
田端香さん(右)と長女の芽彩ちゃんの姿をみて笑顔をみせる入居者=神戸市で、筆者撮影

 人生の最後をどこで暮らすか。心身が衰え、住み慣れた家での暮らしが難しくなることもある。そんなときの選択肢の一つが老人ホームなどの施設だが、高齢者と職員だけがいて、「外」とのつながりが薄いといったイメージがないだろうか。だが、昼夜を問わずに子どもから大人まで、地域の人たちが自由に出入りし、遊んだり勉強したり、仕事したり宴会したり、まるで街のリビングのようになっている介護付きシェアハウスがある。外に出づらくなったお年寄りでも、外から人が来れば交流し、つながれる。高齢者が暮らす場自体がコミュニティーの核となればよいのだ。

 神戸市長田区の六間道(ろっけんみち)商店街のアーケードを出たところに、緑と白の6階建ての建物がある。2017年3月に開設した「はっぴーの家ろっけん」(以下、ろっけん)だ。1階はキッチンと共有リビング、2階から上に45の部屋がある。

 ユニークな内装で、階ごとに「アジアンリゾート」「アメリカ」などのコンセプトがある。たとえば2階は「昭和」で、黒電話や居酒屋の看板が廊下に飾られている。居室ごとに壁紙も異なり、鳥の絵やヒョウ柄、真っ赤な壁紙……。介護が必要な高齢者20人ほどが暮らす「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」だ。

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星野哲

ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員

ほしの・さとし 1962年生まれ。元朝日新聞記者。30年ほど前、墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、特にライフエンディングについて取材、研究を続けている。2016年に独立。立教大学大学院、東京墨田看護専門学校で教えるほか、各地で講演活動も続ける。「つながり」について考えるウエブサイト「集活ラボ」の企画・運営も手がける。著書に「遺贈寄付 最期のお金の活かし方」(2018年、幻冬舎)「『定年後』はお寺が居場所」(同、集英社新書)「終活難民-あなたは誰に送ってもらえますか」(2014年、平凡社新書)ほか。