百年人生を生きる

料理や食事で呼び覚ます認知症高齢者の元気

星野哲・ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員
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自分たちで作った料理をウッドデッキで楽しむ=東京都練馬区で、筆者撮影
自分たちで作った料理をウッドデッキで楽しむ=東京都練馬区で、筆者撮影

 認知症になったり、施設に入ったりすると、高齢者は「危ないから、料理は無理」と決めつけられ、調理から遠ざけられがちだ。献立から調理までさまざまなプロセスがある料理は、日常生活の中で段取りを考えて手先を動かすことが要求される行為だ。料理をすることで認知症予防や改善、情緒の安定といった効果が期待できるとして、高齢者施設の中には「料理療法」を取り入れるところも出てきた。何より、料理を作ることで役割や達成感を得られ、食事をおいしく食べられるようになる利点もある。料理療法を取り入れている高齢者施設を訪ねた。

 油で炒めたニンニクの香りが鼻腔(びこう)をくすぐる。タマネギやキャベツを刻む音。椅子に座ったまま黙…

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星野哲

ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員

ほしの・さとし 1962年生まれ。元朝日新聞記者。30年ほど前、墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、特にライフエンディングについて取材、研究を続けている。2016年に独立。立教大学大学院、東京墨田看護専門学校で教えるほか、各地で講演活動も続ける。「つながり」について考えるウエブサイト「集活ラボ」の企画・運営も手がける。著書に「遺贈寄付 最期のお金の活かし方」(2018年、幻冬舎)「『定年後』はお寺が居場所」(同、集英社新書)「終活難民-あなたは誰に送ってもらえますか」(2014年、平凡社新書)ほか。