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高齢化団地で「2040年の介護危機」を先取り解決

星野哲・ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員
いなり寿司づくりをする利用者ら=神奈川県藤沢市の「ぐるんとびー」で、筆者撮影
いなり寿司づくりをする利用者ら=神奈川県藤沢市の「ぐるんとびー」で、筆者撮影

 高度経済成長時代、都市部で就職した地方出身の人たちの多くが家庭を持ち、首都圏の集合住宅、いわゆる「団地」に住んだ。現在その団地の多くが、住民の高齢化や1人暮らしの増加などの課題に直面している。団地は「日本社会の課題を先取りした場所」ともいえる。団地の課題解決は、日本社会が抱える課題解決にもつながる。団地の空き室を活用し、新たな地域コミュニティーを作る試みを取材した。

 JR東海道線辻堂駅(神奈川県藤沢市)からバスで北に十数分の郊外に、介護事業所「ぐるんとびー」が入居する独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)の団地「湘南ライフタウンパークサイド駒寄」(239戸)がある。

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ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員

ほしの・さとし 1962年生まれ。元朝日新聞記者。30年ほど前、墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、特にライフエンディングについて取材、研究を続けている。2016年に独立。立教大学大学院、東京墨田看護専門学校で教えるほか、各地で講演活動も続ける。「つながり」について考えるウエブサイト「集活ラボ」の企画・運営も手がける。著書に「寺、再起動:ゾンビ寺からの脱出!」(法蔵館)、「人生を輝かせるお金の使い方 遺贈寄付という選択」(日本法令)、「『定年後』はお寺が居場所」(同、集英社新書)「終活難民-あなたは誰に送ってもらえますか」(2014年、平凡社新書)ほか。