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病院で亡くなった家族が警察に運ばれた謎

工藤千秋・くどうちあき脳神経外科クリニック院長
 
 

 先日、私が往診していた患者さんの家族から突然電話が入りました。患者さんが亡くなり、家族の方は、遺体とともに現在警察署にいるというのです。意外に思いながら簡単に事情をうかがい、一旦電話を切ると、まもなく警察署から私に電話が入りました。今後同様のケースに遭遇する人もあるかと思いますので、この時のいきさつを紹介します。患者さんやご家族には、こんな事もあると知って、いざという時に驚かないでいただくため。そして病院など医療関係者には、患者さんの死亡を警察に届け出る前に、必要性をよく考えてもらうためです。日本では2040年ごろをピークに高齢化が急速に進むといわれ、都市部では独居高齢者が増える傾向にあり、孤独死と異状死が抱える課題はますます見過ごせなくなっています。

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くどうちあき脳神経外科クリニック院長

くどう・ちあき 1958年長野県下諏訪町生まれ。英国バーミンガム大学、労働福祉事業団東京労災病院脳神経外科、鹿児島市立病院脳疾患救命救急センターなどで脳神経外科を学ぶ。89年、東京労災病院脳神経外科に勤務。同科副部長を務める。01年、東京都大田区に「くどうちあき脳神経外科クリニック」を開院。脳神経外科専門医であるとともに、認知症、高次脳機能障害、パーキンソン病、痛みの治療に情熱を傾け、心に迫る医療を施すことを信条とする。 漢方薬処方にも精通し、日本アロマセラピー学会認定医でもある。著書に「エビデンスに基づく認知症 補完療法へのアプローチ」(ぱーそん書房)、「サプリが命を躍動させるとき あきらめない!その頭痛とかくれ貧血」(文芸社)、「脳神経外科医が教える病気にならない神経クリーニング」(サンマーク出版)など。