男の育休 普及阻むのは

  • 文字
  • 印刷
社員の育休取得について語るメルカリの小泉文明会長(左)と司会の堀潤さん(右)=東京都千代田区で2019年10月22日午前10時35分、塩田彩撮影
社員の育休取得について語るメルカリの小泉文明会長(左)と司会の堀潤さん(右)=東京都千代田区で2019年10月22日午前10時35分、塩田彩撮影

 男性の育児休業取得を阻んでいるのは、社内の空気? 国の制度? それとも――。毎日新聞東京本社(東京都千代田区)で10月22日、男性の育児休暇取得の課題を話し合うイベントが開かれた。フリーマーケットアプリ最大手の「メルカリ」(港区)の取締役プレジデント(会長)で、充実した支援策を展開しながら自らも育休を取った小泉文明さんらが登壇し、対策を語り合った。

 イベントは「誰もが取れる育休ノカタチ~みんなが応援したくなる男の育休って?」と題し、待機児童対策などに取り組む市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」(天野妙代表)と社会問題の解決を支援する「GARDEN」(堀潤代表)、毎日新聞社が主催。ジャーナリストの堀さんが司会を務めた。

 厚生労働省によると、2018年度の男性の育休取得は6.16%。期間は1カ月未満が80%超で、36.3%は5日未満。一方、小泉さんによると、メルカリは男性の育休取得率が85%で、多くは2~3カ月取得。小泉さんも第2子と第3子の育休をそれぞれ2カ月取ったという。小泉さんは「子育てや介護で不安がある人に『仕事でチャレンジして』と言ってもできない」と指摘。メルカリでは、家賃補助など全員に平等に行き渡る福利厚生ではなく、育休中の給与の100%保障や高額不妊治療費補助などを充実にさせていると明かした。また「僕は39歳だが、僕らの世代や僕らより下の世代は、ファミリーが絶対大事。(人材獲得競争の中で)選ばれるために会社の魅力を高めないといけない」と語った。

男性の育休取得の課題について考える参加者ら=東京都千代田区で2019年10月22日午前10時2分、塩田彩撮影
男性の育休取得の課題について考える参加者ら=東京都千代田区で2019年10月22日午前10時2分、塩田彩撮影

情報共有で後押し

 会場の男性参加者からは「男性が育休を取りにくい空気の正体は何か」という質問が出た。小泉さんは「経済的負担に加え、職場を2~3カ月離れることで自分の仕事がなくなるのではという不安があるのではないか」と答えた。メルカリが経営権を取得したサッカーJ1の鹿島アントラーズの職場では、ビジネス用チャットツール「スラック」を導入し、社員同士の1対1のやりとりもすべて部署ごとに全員が共有できる状態にした。また、会議の議事録もこまめに作成・公開し、部署内で起こっていることを「見える化」したという。小泉さんは「メルカリには既にそういう環境があったので、僕も育休を取れた。スラックを見れば、その日社内で何が起きたかが分かる。だから育休中は長期の出張中のような感覚だった」と振り返り、「情報の流通や共有をしっかりできるか。『浦島太郎状態』をケアしてあげなければ育休は取れない」と語った。

 参加者によるグループワークもあり、第2子の誕生に合わせて来年3月まで初めての育休を取得しようとしているIT企業勤務の男性(38)は「育休後に仕事にキャッチアップできるかが不安」。メルカリの事例を知り、自分の会社でも育休中の仕事の情報共有が可能か、相談してみるという。一方、同じグループでは「自分は仕事をシャットアウトした方が育児に専念できた」という体験談や、「育児や家事の分担方法も今のうちに妻と話し合ったほうがいい。出産後では妻が大変」との指摘も参加者から出た。 会場では「育休を取る目的を明確化しろ」と上司に言われたという製造業の20代男性からの悩みも寄せられ、「育休取得や家事育児への参加がキャリアアップにつながるよう、企業が評価することが必要だ」という声も上がった。【塩田彩、写真も】