現代フランス健康事情

胃腸炎流行 それでも手を洗わぬフランス人

竹内真里・パリ在住ライター
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 11月に入って冷え込む日が増えてきた。青空が見えたかと思っても日差しは弱々しく、みるみるうちにどんよりとした灰色の雲に覆われる。まもなく長い冬の始まりだ。

 寒くなると食べ物をおいしく感じるのはフランスも同じ。まだもう少し、秋の味覚を楽しめる。ブルゴーニュ地方に実家があるフランクさんはこの秋休みに帰省し、「今年もセップ(イタリア語ではポルチーニ)がたくさん採れて、おいしく食べたよ」とニンマリしていた。セップは秋を代表するキノコ。茶色で肉厚、香りも良い。栗の木の下によく生えている。(※)

 憂鬱な欧州の冬を乗り切るために、こんなふうに親しい人とわいわい食事をするのも一つの方法だが、ちょっと注意しなければならないことがある。会食の機会が増えるクリスマスや年末年始に流行する、感染性胃腸炎(ガストロ )だ。

 ウイルスや細菌がついた手などを通して体内に入る接触感染と、生ガキや加熱不十分な食べ物、汚染された水で洗った野菜や果物から感染する場合とがある。発熱や嘔吐(おうと)、下痢などの症状が出る。すでにフランス北部、東部、南部で感染が始まっている。この波が冬の間どんどん広がっていく。

 医者に行ったところで、「ああガストロね、ウイルスでしょう」などといなされ、細菌性かウイルス性か、原因を特定する検査などしてくれない。解熱剤や下痢止めを処方されるぐらいだ。症状が消えるまでの2、3日、ひたすら耐え忍ぶしかない。この間脱水症状を防ぐため塩分糖分を適度に含んだ水をしっかり飲む。

 フランス公衆衛生局の資料によると、年平均罹患(りかん)数はおよそ2100万件、ゼネラリスト(かかりつけ医)受診件数は毎冬約140万~410万件と出ている。なぜこんなに感染が広がるのだろうか。

5人に2人がトイレ後も手を洗わない

 握手やビズ(お互いの頬をくっつけるあいさつ)など、肌を接触させる機会が多いフランス。そのわりに手洗い…

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竹内真里

パリ在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はパリ市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。