MRIの画像を専門医に送る医師
MRIの画像を専門医に送る医師

 認知症のような症状を起こす病気はいくつもありますが、原因疾患が「慢性硬膜下血腫」あるいは「正常圧水頭症」の場合は、手術で症状が軽減する可能性があります。これらの「治る認知症」を見逃さないためには画像検査が肝要です。今回は、認知症のような患者さんを診断する際の「画像検査の大切さ」についてお話しします。

 頭蓋骨(ずがいこつ)の内側で脳を包んで保護している硬い膜(硬膜)と、脳の表面との間に、血の塊(血腫)ができることがあります。この血腫がゆっくりと大きくなり、脳を圧迫するのが、慢性硬膜下血腫という病気です。認知機能障害や歩行障害などさまざまな症状が表れます。

 軽い頭部への打撲などが引き金になって血腫ができるのですが、特に打撲した覚えがないのにこの病気になることもあります。いつのまにか始まった頭痛▽少しぼーっとする▽物忘れをする▽意欲が出ない▽眠い――などが典型的な訴えです。これらの症状はアルツハイマー型認知症などの認知症疾患でよくみられるので、問診だけで慢性硬膜下血腫と認知症を見分けるのはかなり難しいです。

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小田陽彦

ひょうごこころの医療センター認知症疾患医療センター長

おだ・はるひこ 1977年、兵庫県西宮市出身。兵庫県立ひょうごこころの医療センター精神科医師。神戸大学医学部卒。医学博士。神戸大学医学部精神科助教、兵庫県立姫路循環器病センター等を経て2017年4月より現職。日本精神神経学会専門医・指導医。日本老年精神医学会専門医・指導医・評議員。著書に「科学的認知症診療」(シーニュ社、2018)