無難に生きる方法論

男性にとって最も難しい仕事は「主夫」?

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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 先日、イギリスから女性パートナーの収入が世帯年収の40%を超えると男性のストレスが大きくなるとの論文が発表されました(Personality and Social Psychology Bulletin)。この研究では5年以上にわたり結婚または同棲(どうせい)しているカップル6000組を分析しています。男性が単独で家計を支えている時も心理的な苦痛が高く、女性の収入が徐々に増えるにしたがって、その苦痛は軽くなるようです。この傾向は女性の収入が世帯収入の40%になるまで続き、その時の苦痛は20ポイントほど下がったといいます。

 しかし、男性の心理的な苦痛は女性の収入が40%を超えると逆に増加し、女性が家計を全部支える、つまり「専業主夫」状態になった時には40ポイント近くも上昇したそうです。女性の社会進出が著しくなり、イギリスでは女性の収入が男性より多い世帯は1980年には全体の13%でしたが、2000年に約25%、17年には31%に増加しています。しかし、興味深いことに、女性が高収入であると理解した上でパートナーとなった男性は、それほどストレスを感じていないようです。

 イギリスでさえ、男性が家庭の主な稼ぎ手であるという古くからの固定観念に悩まされているようですから、日本ではこの傾向がもっと強いのではないかと想像されます。さらに、収入の格差は家庭内のパワーバランスにも影響するようです。どうしても収入の多い方の意見が通りやすくなり、収入の少ない方は我慢せざるを得ないことが増えます。

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。