百年人生を生きる

住民主体の孤立しない街づくり

星野哲・ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員
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公園で高齢者と園児がいっしょに活動する=おおた高齢者見守りネットワーク提供
公園で高齢者と園児がいっしょに活動する=おおた高齢者見守りネットワーク提供

 高齢者の社会的孤立を防ぐには、高齢者が元気なうちから地域とつながりを持つと同時に、周囲の人は高齢者の異変に気付いたら専門機関に早く連絡できる関係性が地域にあることが大切だ。地域のつながりが薄いといわれる東京だが、多くの人が住み、企業など社会的資源の宝庫でもある。それを生かした都市型ネットワークづくりが、東京都大田区で進む。「おおた高齢者見守りネットワーク」(愛称・みま~も)だ。「気づき・見守り・支え合う地域づくり」を合言葉に、医療・福祉の専門職に限らず企業やボランティアなど多様な主体がかかわる。2008年に地域住民による高齢者の見守りからスタートした取り組みは、全世代を対象にした、孤立しない街づくりへと広がる。同時に「のれん分け」も広がり、鹿児島市や大阪府岸和田市など全国11カ所で「みま~も」システムが導入されている。

 「問題が起きたときに相談を受けて個別に対処するだけでは、安心して暮らせる街づくりにはならない。必要なのは、高齢者の異変に地域の人たちが早く気づく『気づきのネットワーク』と、医療・介護など専門職の『支援のネットワーク』だと考えました」と説明するのは、牧田総合病院(東京都大田区)の地域ささえあいセンター長の澤登久雄さん(52)。同センターは地域包括支援センターを併設し、急性期から在宅医療、予防医学まで包括的な医療体制構築を目指す。澤登さんは社会福祉士で、「みま~も」の発起人だ。

 そんなネットワークを作るために澤登さんら地域の有志が考えだしたのが、年会費を払って活動を支える企業などの賛助会員と、ボランティアの中核を担う個人のサポーターだ。現在、賛助会員は90社、サポーターは約100人いる。

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星野哲

ライター/立教大学社会デザイン研究所研究員

ほしの・さとし 1962年生まれ。元朝日新聞記者。30年ほど前、墓や葬儀の変化に関心を持って以降、終活関連全般、特にライフエンディングについて取材、研究を続けている。2016年に独立。立教大学大学院、東京墨田看護専門学校で教えるほか、各地で講演活動も続ける。「つながり」について考えるウエブサイト「集活ラボ」の企画・運営も手がける。著書に「遺贈寄付 最期のお金の活かし方」(2018年、幻冬舎)「『定年後』はお寺が居場所」(同、集英社新書)「終活難民-あなたは誰に送ってもらえますか」(2014年、平凡社新書)ほか。