どうする健康格差社会

孤立の背景に社会的排除 共生社会の実現を

近藤克則・千葉大学予防医学センター教授
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 先月起きた埼玉県深谷市の母親の遺体遺棄事件、大阪市の小6女児誘拐事件の容疑者などには、ひきこもりがちなど社会に居場所や役割を得られず孤立している人が多いのではないか。そして、その背景には孤立させやすい社会があるのではないか。

 貧困はどのように生まれるのかを研究する中で「社会的排除」が見いだされた。人は経済的な理由による物質的な欠乏だけで突然に貧困状態になるわけではない。貧困の背景には、いろいろな社会関係から排除され孤立していく「関係性の貧困化」がある。

 例えば、生活が苦しくなった母子家庭では、母親が長時間の仕事に追われる。すると育児放棄までいかなくても、子どもは、かまってもらえない。経済的に苦しいために塾に行けなければ、学校での勉強についていくのが大変になるかもしれない。大学に行きたくても「うちにそんなお金はない」と感じたら勉強をしなくなるだろう。

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近藤克則

千葉大学予防医学センター教授

1983年千葉大学医学部卒業。東大医学部付属病院リハビリテーション部医員、船橋二和(ふたわ)病院リハビリテーション科科長などを経て日本福祉大学教授を務め、2014年4月から千葉大学予防医学センター教授。2016年4月から国立長寿医療研究センター老年学評価研究部長。「健康格差社会ー何が心と健康を蝕むのか」(医学書院2005)で社会政策学会賞(奨励賞)を受賞。健康格差研究の国内第一人者。