ボストン発 ウェルエイジング実践術

「10時間ダイエット」でメタボを改善?

大西睦子・内科医
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朝食を作る人たち。「10時間ダイエット」では朝食を遅めに、夕食を早めにとる人が多かった
朝食を作る人たち。「10時間ダイエット」では朝食を遅めに、夕食を早めにとる人が多かった

 最近米国で「断続的な断食」が流行しています。ちなみに断食は英語で、「fast」といいますので、朝食「breakfast」は、「fast=断食」を「break=中断」する最初の食事ということになります。つまり個人差はあっても、私たちはだれもが、毎日睡眠中の7時間くらいは自然に断食をしています。ただし、はやりの「断続的な断食」は、一日のうち食べる時間を制限したり、1日おきに食事を抜いたり、週に数日断食したりするものです。特に、一日のうちで食事をとってよい時間帯を短めにする「時間制限ダイエット」が人気で、その健康への影響が科学的に調査されています。そんな中、この分野のリーダーである米国「ソーク研究所」のサッチダナンダ・パンダ教授らのチームは、2019年12月5日付の科学誌「Cell Metabolism」に「10時間の時間制限ダイエット」についての新しい研究成果を報告しました。今回は、パンダ教授らの論文を参考に、時間制限ダイエットについて考えてみましょう。

 これまでに多くの研究で、不規則な食事時刻、深夜のおやつ、シフト勤務が、肥満、糖尿病、心臓病の原因になることが示されています。そこでパンダ教授らのチームは、同じカロリーを摂取していても、毎日の食事の時間と空腹の時間のリズムの違いが健康にどのように影響するかを、動物実験で検証してきました。

 教授らはまず、キイロショウジョウバエを使って実験しました。一日中いつでも、好きな時間に餌にアクセスできる「食べ放題」のハエと、一日のうち12時間のみ餌にアクセスできる「時間制限ダイエット」のハエを比較したところ、食べ放題だったハエは、時間制限をしたハエに比べて、体重が増え、睡眠が不規則になり、心機能の老化が早まっていました。この結果は、15年3月に米科学誌「サイエンス」に論文として発表されました…

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大西睦子

内科医

おおにし・むつこ 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。