デンマークの高齢者
デンマークの高齢者

 はじめまして。私はこれまで、新聞記者として厚生労働省や医療福祉の現場を取材したり、福祉大国といわれる北欧・デンマークで10年間、障害者や難民の子供たちの支援などの福祉教育現場にかかわったりしてきました。認知症患者を支援する「認知症コーディネーター」の資格も取得。デンマークの実情などを日本に伝えてきました。2015年に帰国し、精神障害者や高齢者の支援を続けながら研究をしていますが、その中でみえてきたのは、「地域で暮らし続ける」ことの大切さでした。

 そもそも医療の目的とはなんでしょう。簡単に言えば、病気やケガを治すことです。では治した後はどうでしょう?  治っても、もしかしたら長期間の病院での闘病生活の結果、帰る家がなくなっているかもしれません。帰ることができても体力が落ち、障害が残る体にはこれまで通りの生活は難しいかもしれません。また、入院しなくても、自宅で暮らしながら、さまざまな病気を抱え、高齢であれば認知症にもかかるかもしれません。そ…

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銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。