多民族時代の健康パスポート

武漢の肺炎など「新ウイルス」が次々と現れるわけ

濱田篤郎・東京医科大学教授
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中国・武漢市で発生した肺炎について注意喚起するポスター。成田空港の国際線到着エリアの検疫検査場に掲示されている=2020年1月14日、中村宰和撮影
中国・武漢市で発生した肺炎について注意喚起するポスター。成田空港の国際線到着エリアの検疫検査場に掲示されている=2020年1月14日、中村宰和撮影

 中国の湖北省武漢市で昨年12月中旬から肺炎患者が多発しており、1月中旬までにその原因が新型のコロナウイルスであることが明らかになりました。10日までに少なくとも41人が感染してうち1人が死亡し、7人は重症だそうです。日本でも、武漢市から帰国した男性が肺炎のため入院し、15日にはこの男性から新型ウイルスが検出されました。同じウイルスは13日に、タイの空港に到着した中国人女性からも検出されています。

 患者の多くは武漢市内の食品市場で働いていたり、そこに立ち入ったりする人々です。この市場では小動物が生きたまま販売されていたため、こうした小動物からコロナウイルスに感染したと考えられています。中国ではタヌキやハクビシンなど特殊な動物の肉を食べる「野味」という食習慣があり、それに用いる新鮮な食材を提供するため、市場で生きたまま動物を販売することも少なくありません。実は、2003年に中国から流行が拡大…

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濱田篤郎

東京医科大学教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。