標高4750メートルのベースキャンプ近辺から見たダウラギリⅠ峰=2019年10月14日、藤原章生撮影
標高4750メートルのベースキャンプ近辺から見たダウラギリⅠ峰=2019年10月14日、藤原章生撮影

①きっかけ

 これは避けようがないこと。初めから決まっていたことなんだ。

 ヒマラヤのダウラギリⅠ峰(8167m)を登っていると、何度かそんな言葉が浮かんだ。

 ダウラギリはヒマラヤにある世界第7位の高峰のことだ。「ヒマラヤに行った」と言うと「え? エベレスト登ったの?」と何度言っても間違える人が意外に多いが、実はヒマラヤは「ヒマラヤ山(さん)」のことではなく、山脈の名前なのである。世界中でこのヒマラヤとそのすぐ近くのカラコルム山脈にだけ標高8000mを超す山があり、その数は14座におよぶ。中でも最も高いのがエベレストで、標高は8848mあり、以下、最も難しいといわれるK2(8611m)、カンチェンジュンガ(8586m)と続き、高さがぐーんと落ちて7番目にあるのがダウラギリだ。

 新聞記者を始めて31年目の秋、2カ月もの休暇を初めてとり、200万円もの大金をはたいて、なぜこんな苦しい思いをしているのか。それにしても実際、なんでこんなに苦しいんだろう。

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藤原 章生

統合デジタル取材センター夕刊報道グループ

1989年、鉱山技師から毎日新聞記者に転職。長野、南アフリカ、メキシコ、ローマ、郡山市に駐在し現在は東京で夕刊特集ワイド面に執筆。2005年、アフリカを舞台にした本「絵はがきにされた少年」で開高健ノンフィクション賞受賞。主著に「ガルシア=マルケスに葬られた女」「資本主義の『終わりのはじまり』」「湯川博士、原爆投下を知っていたのですか」など。過去の記事はこちら→ https://mainichi.jp/search?q=%E8%97%A4%E5%8E%9F%E7%AB%A0%E7%94%9F&s=date