
精神疾患のうちの一つである「うつ病」になると、考える速度が遅くなり、一つの物事に意識を集中し続けるのが困難になります。また、自覚症状として物忘れを感じることがありますので、認知症と間違われることがあります。これを「偽性認知症」といいます。本人が訴える物忘れを治療するのなら、原因がうつ病でも認知症でも同じだろう、と思う方もいらっしゃるでしょうが、そういうわけにはいきません。本当はうつ病なのに認知症として治療を受けたがために、かえって経過が悪くなることがあるので、うつ病と認知症の区別は重要です。
そこで、うつ病と認知症の違いを簡単に説明しておきましょう。うつ病は1年以上続くことは少なく、その80~90%は特別な治療をしなくとも2年以内に回復します。一方、多くの認知症疾患は短期間に回復することはありません。また、うつ病の人は気分の落ち込みや何をしても楽しくないという「意欲低下」が必発ですが、認知症疾患の場合は、それらがある場合もあればない場合もあります。
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