ベースキャンプから見上げるダウラギリⅠ。ピークは右奥=2019年10月12日、藤原章生撮影
ベースキャンプから見上げるダウラギリⅠ。ピークは右奥=2019年10月12日、藤原章生撮影

②相棒・明さん

 「藤原さん、8000、行きませんか」と誘ってきた斎藤明さん(58)は一本気というのか、まっすぐというのか、少し変わった人だ。つまり、私とはずいぶん違うふうに物を考える人なのだ。

 郡山の高校を卒業後、東京の日本ビクターで働きながらドラム演奏のプロを目指したこともあったが、ほどなく営業職にのめり込み、本田技研の関連会社に転職する。バイク販売でかなりいい成績をあげながらも、あれこれと資格を取得し、20代の末に独立し保険代理業を始めた。現在は小規模ながら二つの会社の社長を務めつつ、不動産事業も手がける立派な実業家である。

 そんな明さんが朝日連峰の沢でのたき火を前にこんなふうに語り出した。

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藤原 章生

統合デジタル取材センター夕刊報道グループ

1989年、鉱山技師から毎日新聞記者に転職。長野、南アフリカ、メキシコ、ローマ、郡山市に駐在し現在は東京で夕刊特集ワイド面に執筆。2005年、アフリカを舞台にした本「絵はがきにされた少年」で開高健ノンフィクション賞受賞。主著に「ガルシア=マルケスに葬られた女」「資本主義の『終わりのはじまり』」「湯川博士、原爆投下を知っていたのですか」など。過去の記事はこちら→ https://mainichi.jp/search?q=%E8%97%A4%E5%8E%9F%E7%AB%A0%E7%94%9F&s=date