実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナウイルス 「単純な」情報にご用心

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
  • 文字
  • 印刷
「マスクは在庫限りとなります」などの張り紙が出た薬局=松山市で2020年2月6日
「マスクは在庫限りとなります」などの張り紙が出た薬局=松山市で2020年2月6日

 新型コロナウイルスに関する「混乱」が止まりません。太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)を受診する患者さんからも「外出が怖い。すれ違う人すべてが感染者に思えてしまう」と訴えられたかと思えば「新型コロナなんてインフルエンザと同じようなものでしょ」と言われることもあります。そういった極端な考えは事の本質を見失うことになり危険です。今回は、新型コロナウイルスをきちんと理解するために「単純な思考に陥らないで」という話をしたいと思います。

 マスクについては、前々回のコラムで私が予想したように「根拠のないデマ」がすでに流れてしまっています。ある患者さんからは「薬局ではマスクが品切れなんです。谷口医院で売ってもらえませんか」と言われ、別の患者さんからは「マスクなんて意味ないんでしょ。ツイッターでどこかの医者がつぶやいてましたよ」と言われました。

 「マスクは意味がない」などと発言する医者はいないと信じたいですが、フェイスブックに「徳島コロナ上陸しました。犯人は中国人夫婦だそうで」などと虚偽を書き込んだ医師もいるくらいですから(この医師の夫が謝罪したと報道されています)、医師というだけではその発言をうのみにしない方がいいのかもしれません。

この記事は有料記事です。

残り3424文字(全文3942文字)

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト