ER Dr.の救急よもやま話

突然の「ぎっくり腰」 救急車を呼ぶべき場合とは

志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学教授(同大病院救急医療部)
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段ボールを持ち上げようとする男性(写真と本文は関係ありません)
段ボールを持ち上げようとする男性(写真と本文は関係ありません)

 今回は突然の腰痛のお話をします。まず、事例を一つ紹介しましょう。40代の男性が腰痛を訴えて救急外来を受診されました。他には特に病気もないし、手術を受けたこともないとのことでした。「引っ越しを手伝っていて段ボールを持って何度か往復していたところ、3往復目にトラックから段ボールを持ち上げた時に激痛が始まった」とのことでした。救急外来で診察すると、血圧は140/80、脈拍は1分間に60回で、血圧がやや高いが問題ない範囲でした。発熱はなく、両足の感覚に問題はなく、まひもありませんでした。

 私も腰痛になったことがあります。学生のころサッカーをしていました。突然、チームメートが故障して、準備する間もなく試合に入りました。「スローイン」でボールを投げ込んだ途端、「痛い!」となりました。

 この痛みは何だったのでしょうか? 医学的にいうと「急性腰痛症」。一般的な言葉でいうと「ぎっくり腰」になります。原因ははっきりしませんが、靭帯(じんたい)、椎間板(ついかんばん)、関節などにちょっとした損傷がある状態と考えられます。90%は特定できる原因は見つかりません。ただ原因は不明でも、一般に「ぎっくり腰」の痛みは10日程度で徐々に良くなっていきます。私の例でもそうでしたが、たいていの場合は時…

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志賀隆

国際医療福祉大医学部救急医学教授(同大病院救急医療部)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授(同大学病院救急医療部)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。