高齢者が共同で管理しながら暮らすデンマークの高齢者住宅。さまざまなタイプの住宅の形がある。
高齢者が共同で管理しながら暮らすデンマークの高齢者住宅。さまざまなタイプの住宅の形がある。

 連載1回目の前回、「誰もが可能な限り在宅生活を続けられることが、経済的にも有用であり、かつ高齢者本人のためでもある」というお話をしました。住み慣れた家に住み続けることが国にとっても、本人にとっても重要であるということです。しかしながら、その家に関する実態や感覚が日本とデンマークではかなり異なります。どのような違いがあるのか、みていきましょう。

 まず、デンマークの住宅事情ですが、日本に比べると随分とゆったりしています。そもそもデンマークの面積は約4万3000㎢で、約4万4500㎢の九州とほぼ同じ面積です。人口はデンマークが約570万人、九州が約1400万人です。さらに、デンマークの可住地面積(山や川、湖などを除いた住める土地)は国土面積の8割を超えています。これに対し、九州は約4割、日本は3割程度です。つまり、デンマークは人口密度が低く…

この記事は有料記事です。

残り2354文字(全文2727文字)

銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。