ダウラギリに向かうキャラバン途上、フレンチパス(峠)手前の平原で=2019年9月24日、藤原章生撮影
ダウラギリに向かうキャラバン途上、フレンチパス(峠)手前の平原で=2019年9月24日、藤原章生撮影

 「ダウラギリに行こう」と決めたのは昨年、2019年1月8日のことだった。

 普段日程を書き入れているメモ帳のその日の欄を見ると、私は躍るような字でこう書いていた。

 「ヒマラヤ行きの話、明さんより。急に明るい気分。早めに寝る、ぐっすり寝ちゃう」

 翌9日の欄はこうだ。「朝7時に起き、9時出社。Nさんに電話して(新聞のワイド面に載せる予定の)原稿を直し、11時に出稿。ファイルなど机まわりの掃除。もう辞める気になっている。昼は同僚数人とうどん。午後、部長に辞める相談(ドトール)」

 私はそれまで個人的な理由で2カ月間も会社を休んだことがなかった。入社3年目、30歳の秋、外国人に解禁されたばかりのカムチャツカ半島に山登りに行ったことがあるが、そのときはせいぜい2週間だった。

この記事は有料記事です。

残り3128文字(全文3463文字)

藤原 章生

統合デジタル取材センター夕刊報道グループ

1989年、鉱山技師から毎日新聞記者に転職。長野、南アフリカ、メキシコ、ローマ、郡山市に駐在し現在は東京で夕刊特集ワイド面に執筆。2005年、アフリカを舞台にした本「絵はがきにされた少年」で開高健ノンフィクション賞受賞。主著に「ガルシア=マルケスに葬られた女」「資本主義の『終わりのはじまり』」「湯川博士、原爆投下を知っていたのですか」など。過去の記事はこちら→ https://mainichi.jp/search?q=%E8%97%A4%E5%8E%9F%E7%AB%A0%E7%94%9F&s=date