健康をつくる栄養学のキホン

感染症対策 「免疫力」に要注意

成田崇信・管理栄養士
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 風邪やインフルエンザが流行するこの季節になると、風邪を予防する栄養素や食事法を紹介するテレビ番組やネット記事をよく見かけます。妥当なものももちろんありますが、中にはサプリメントの宣伝や根拠不明の民間療法を紹介するものも少なくありません。一般に免疫力を上げ病気の予防効果があるといわれる食品や栄養成分についても、実は根拠が不十分なことや効果が確認されていないものも多くあります。今回は免疫力を上げるといわれる栄養素や食品の関係性についてのお話と、実際に風邪をひいてしまった時の上手な食事法を紹介します。

 風邪の原因になるウイルスや病原性のある微生物から体を守るため、私たちの体の中では免疫に関わる細胞が働いています。免疫力という言葉をよく見かけますが、免疫力を評価する具体的な指標や定義もなく、医学の専門用語ではありません。免疫に関わる細胞の数が多ければ病気を予防できそうに感じますが、免疫系の細胞が増えるケースの多くは、外敵が体に侵入した時など緊急事態が起こっているときです。何もないのに体が臨戦状態では体に余計な負荷がかかると考えられます。免疫反応はとても複雑な仕組みを持っているため、免疫力を高めればよいというような単純なものではない、という理解が必要です。

 体にとって有害なウイルスや細菌が侵入すると生体の防御反応として体温が上昇することから、普段の体温を高くすれば免疫力が活性化するという説もあるようですが、実はこれにも根拠がありません。免疫力アップのためには体を温める食べ物を増やし、冷やす食べ物を控えましょうというアドバイスにもあまり意味はないでしょう。

 そもそも、「体を温める」といわれている食べ物に体温を上昇させる特別な効果はないと考えられます。食べた後に発汗や手足などの体温上昇を促す食品成分はありますが、それは一時的なものでしょう。手足がぽかぽか感じるのも収縮していた血管が拡張して血流が良くなり末端まで熱が運ばれるようになったからと考えられます。眠気を催した時やリラックスしている時に手足がぽかぽかするのと同じ理由です。

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成田崇信

管理栄養士

なりた・たかのぶ 1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書「新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK」(内外出版社)を執筆。共著に「各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと」(メタモル出版)、監修として「子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ」(オレンジページ)などに携わっている。