理由を探る認知症ケア

79歳女性が老健で探していたのは…

ペホス・認知症ケア・コミュニケーション講師
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 Hさん(79歳・女性)は、アルツハイマー型認知症と診断をされつつも、ヘルパーの支援を受けながら、夫婦二人で暮らしていました。夫はパーキンソン病を抱えているため、ベッドから車椅子に乗り移らせる介助もひと苦労していました。

 夫の体がうまく動かない時には、車椅子にうまく乗せられず、ベッドの下にしゃがみ込んでしまって、SOSの電話をホームヘルパーの事業所にかけることもしばしばありました。そのため、Hさんが夫を自宅で介護し続けるのは難しく、話し合いの結果、施設に入所することになりました。

 しかしながら、夫の入所後からは、「お父さんはどこに行ったの?」と昼夜問わず娘さんに電話をしてくることが増えました。その都度、説明をして、落ち着くこともあれば、「そんなこと聞いてない!」と興奮をすることもあり、Hさんに険しい表情が増えてきました。

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ペホス

認知症ケア・コミュニケーション講師

ペ・ホス(裵鎬洙) 1973年生まれ、兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、訪問介護、介護老人保健施設などで相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、かかわる人の内面の「あり方」が、“人”や“場”に与える影響の大きさを実感。それらの経験を元に現在、「認知症ケア・コミュニケーション講師」「認知症ケア・スーパーバイザー」として、介護に携わるさまざまな立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の大切さの発見を促す研修やコーチングセッションを提供している。著書に「理由を探る認知症ケア 関わり方が180度変わる本」。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。アプロクリエイト代表。