いきいき女性の健康ノート

HPVワクチンで助かるはずの命

福島安紀・医療ライター
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 子宮頸(けい)がんは、子宮の入り口の頸部と呼ばれる部分に発生するがん。国立がん研究センターの「最新がん統計」と厚生労働省の人口動態統計によれば、2016年は1万1283人が子宮頸がんと診断され、18年には2871人がこの病気で命を落としている。しかも、20代から40代の若い世代に患者が多いのが子宮頸がんの特徴だ。予防の切り札として大きな注目を集めた「HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン」は、接種後に痛みや体調不良を訴える女性が相次いだことから、13年6月に、国の積極的な勧奨が控えられたまま、もうすぐ7年がたとうとしている。日本の関連学会や世界保健機関(WHO(世界保健機関)は、「日本の若い女性の、子宮頸がんを予防するチャンスが失われている」と積極的な勧奨の再開を求めている。HPVワクチンとどう向きあえばよいのか。日本大学医学部付属板橋病院産婦人科教授の川名敬さんが解説する。

 日本がん・生殖医療学会患者ネットワーク担当理事の阿南里恵さんは、15年前、23歳だったときに子宮頸がんと診断され、子宮を全部摘出する手術を受けた。

「これから結婚して子どもも欲しいと思っていた時期に、赤ちゃんを産めなくなるという現実を受け入れるのに時間がかかりました。その後、手術の後遺症で脚がむくむリンパ浮腫になり、大好きだった仕事も続けられなくなりました。10代の女性たちには、若い女性の人生を大きく変えてしまう子宮頸がんを予防するHPVワクチンに対する効果と副作用についてきちんと理解し、ワクチンを受けるかどうか考えてほしいと思います」と語る。

 子宮頸がんは、性的接触によるHPVへの感染が原因で発症する…

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福島安紀

医療ライター

ふくしま・あき 1967年生まれ。90年立教大学法学部卒。医療系出版社、サンデー毎日専属記者を経てフリーランスに。医療・介護問題を中心に取材・執筆活動を行う。社会福祉士。著書に「がん、脳卒中、心臓病 三大病死亡 衝撃の地域格差」(中央公論新社、共著)、「病院がまるごとやさしくわかる本」(秀和システム)など。興味のあるテーマは、がん医療、当事者活動、医療費、認知症、心臓病、脳疾患。