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暴走の背景にストレス?

石蔵文信・大阪大学招へい教授
 
 

 昨年暮れにポルシェを時速216kmで無免許運転し、制御困難になってトラックに追突して横転させ、運転手の男性を死亡させたとして、神戸地裁は医師に懲役8年(求刑懲役10年)の判決を言い渡しました。同業者ながら、ありえない行為だと思いました。

 命を守るべき医師が無謀運転で、しかも無免許で死亡事故を起こしたことに世間では厳しい声が上がるのは当然です。ストレスの多い医師の運転は無謀なことが多いのでしょうか? 米国のAndre Zimerman氏らが医師と運転に関する興味深い論文を発表しています(BMJ誌2019年12月18日号)。

 この研究では、2004~17年に米国フロリダ州でスピード違反をした医師5372人とそれ以外の1万9639人を比較しています。そして、20マイル(約32km)を超えるスピード違反や、高級車の所有などを診療科別に調査しています。

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大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。