多民族時代の健康パスポート

新型コロナ 暖かくなったら収まる?

濱田篤郎・東京医科大学教授
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新型コロナウイルスの影響で学校が休校となったため学童保育に通い、弁当会社から無償で提供された弁当をうれしそうに受け取る子供たち=東京都江東区で2020年3月6日午後0時21分、小川昌宏撮影
新型コロナウイルスの影響で学校が休校となったため学童保育に通い、弁当会社から無償で提供された弁当をうれしそうに受け取る子供たち=東京都江東区で2020年3月6日午後0時21分、小川昌宏撮影

 新型コロナウイルスの流行が世界各地に拡大しています。世界保健機関(WHO)によると、3月9日の時点で100以上の国と地域で感染者が確認されており、各国の合計感染者数は10万人以上になりました。日本でも2月中旬から国内感染者数が増加しており、これから流行がピークを迎えると考えられています。

 そんな中、WHOは6日に「夏になって流行が終わる根拠はない」との声明を発表し、各国が流行対策をさらに推進することを要請しました。読者の皆さんの中にも、暖かくなったら流行が収まると考えている人が多いと思いますが、気温が上昇しても新型コロナウイルスの流行は続くのでしょうか。今回のコラムではこの点を解説します。

 WHOは6日に出した声明で、「新型コロナの流行がインフルエンザのように暖かくなると終わるわけではない」と説明しています。日本など温帯の国では毎年冬にインフルエンザが流行し、春の到来とともに終息します。新型コロナもインフルエンザと同じく飛沫(ひまつ)感染や接触感染で拡大するため、多くの人が同様の流行パターンになると考えますが、WHOは「それは違う」と言っているわけです。

 では、なぜインフルエンザは冬に流行するのでしょうか。これは気温が低下するためです。気温が低下すると多くの人が屋内で生活するため、人と人の距離が接近し、飛沫感染や接触感染がおこりやすくなります。日本の冬は乾燥していますが、それは大きな要因ではありません。ちなみに、西ヨーロッパでは冬に雨が降ることが多く、あまり乾燥していません。

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濱田篤郎

東京医科大学教授

はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。